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時代は脱“インスタ映え”、ファッション業界はSNSでも“オワコン”か?

インスタグラムの最新動向を発表する

「インスタグラム・デイ」が3日に開催された。インスタグラムの業績はここ2年特に好調で、グローバルでの月間アクティブユーザーは今や8億、毎日5億人が利用するアプリへと成長した。日本国内の月間アクティブユーザーも15年6月の810万人から17年10月時点で2000万人まで増加しており、2000人を対象に調査をした結果では女性が利用者の6割を占めるという。

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 ケビン・ウェイル(Kevin Weil)=インスタグラム最高製品責任者(CPO)はイベント冒頭で、「iPhoneの登場によって、言葉から画像へ、電話から動画シェアへとコミュニケーション方法は大きく変わった。インスタグラムでは過去1年間で2兆以上の画像がシェアされたが、これは数百年間で撮影された写真よりも多い。これら膨大な画像を用いて生まれるコミュニティーこそがインスタグラム成功の鍵だ」とコメント。画像・動画がもはや世界共通の新たな言語になりつつあることを示唆した。

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 ここ数年間で、インスタグラムの利用ハードルは劇的に下がった。特に、インスタストーリーズ(以下、ストーリーズ)の登場は大きい。ウェイルCPOいわく、「2.5億人が毎日ストーリーズを使っている。ストーリーズはシェアの簡便さがポイント。24時間で消えるし、『いいね』もコメントも見えないので、投稿へのプレッシャーがない。タイムラインへの投稿がハイライトを捉えるものならば、ストーリーズはその合間を捉えるものだ」という。

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長谷川晋フェイスブック ジャパン代表も国内での市場調査をもとに、「利用後の気持ちを聞くと、『センスを見せることができる』『ハイクオリティーなコンテンツがある』といった当初の声は落ち着き、

『趣味が近い人とつながれる』という意見が増えてきた。これまで作り込まれた画像がないと投稿できないという人が多かったが、日常風景を気軽に投稿できる時代になったのではないか」と強調した。

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 こうした流れにともなって、“ユーザーがよく見るコンテンツ”にも大きな変化が出てきたという。以下の調査結果を見る限り、日常にありふれたペットや料理、ショッピングなどのコンテンツ閲覧率が飛躍的に伸びている。一方、母数がわからないため単純に比較をすることはできないが、増減率だけを見ると、写真やファッション、アート・デザインなどの“インスタ映え”するハイセンスなコンテンツの増加率が下がっている。

よく見るコンテンツ順位
(15年と回答数と比較した増減)

有名人の投稿(+6%)
友人の投稿(+7%)
ファッション(+6%)
写真(-13%)
料理(+53%)
旅行(+70%)
動物・ペット(+67%)
音楽(+27%)
ショッピング(+33%)
雑貨(+20%)
食品・お菓子・飲料(+33%)
スポーツ(+67%)
アート・デザイン(-9%)
インテリア(+25%)
映画・エンタメ(+25%)

 作り込まれた世界観に対するニーズが減少し、リアルな投稿に人気が集まるようになった。これはファッション業界にとって悲報だろうか。“インスタ映え”の代表格だったファッションは、SNS上でも低迷してしまうのか。決して、そんなことはないはずだ。インスタグラムの利用者調査では、60%のユーザーが企業の投稿で商品を知り、75%のユーザーがインスタグラムがきっかけで購買などの行動を起こしたことがあるという。インスタグラムをうまく活用すれば、直接購買につなげることができる以上、ファッション業界にもSNS活用の可能性はあるはずだ。とはいえ、ファッションだけを全面的に訴求するだけでは、SNS上でのインパクトが弱いことは事実。料理や旅行などのライフスタイルをからめたキャンペーンなど、既成概念にとらわれない仕掛け作りを考えることが必要かもしれない。

 

SNSトレンド
WWDJapanより