FASHIONを通して、毎日をハッピーに。 世界の人々にそんな毎日を届けたい。 そんな仲間の集まる会社の社長記録です。

ファッションには未来はあるか?

株式会社せーの
代表石川涼インタビューより

f:id:antwarpboss:20180218143330j:image

日本のファッション業界の今後についてどう考える。


僕は、ファッションやアパレルはこれから終わっていくと思っています。
残るのは「感動ビジネス」。
ファッション業界は今すでに衰退していて、ゼロにはならなくてもいずれ稼げる産業ではなくなります。
ファッションがコミュニケーションツールではなくなってしまったんですよね。昔は情報を知らないのが当たり前で、服自体が話のネタになったけど、今は違う。
誰かに会う時も、先にネットでリサーチできてしまうし、ネットの中でどれだけ表現をうまくできるかの方が、その人を判断する上でプライオリティが高くなりつつある。
おしゃれかどうかは昔ほど重要じゃなくて、清潔感さえあればいいかもしれないし、ブランドがいらない社会になっていくんじゃないかとも考えています。

f:id:antwarpboss:20180218143421j:image
ファッション業界に入りたいという若者も減っている。


もっと楽しいものがたくさんあるし、ファッション業界には夢がないんだと思う。今の10代って物心ついたときからネット環境があるから、何の違和感もなくいろんなことを吸収して、何が新しくて面白いかの感覚を身に付けている。そうなると、雑誌よりも友達のコミュニティの話題の方がリアルなんだと思います。広告主導の媒体やビジネスは必要とされなくなりますよね。

アパレル企業の社長の言葉としてはずいぶん厳しい。
これはすごく重要だと思っています。この業界の行末を覚悟した上で新しいビジネスを考えていくのと、「まだいける。ファッション業界が死ぬなんてありえない」って信じながら仕事しているのとでは、この先に雲泥の差が出てくるんじゃないですか。

 

これから必要とされるビジネス。
「感動ビジネス」とは…


瞬間的に「かわいい」「かっこいい」「面白い」というもの。「gonoturn」もそのひとつで、そういった感覚は言語が必要ないですよね。ウェブは世界中全部つながっているし、そういうビジネスに寄っていった方がいい。僕らはこれから、感動を売っていきたいと思っています。

「売れるものはかっこいいもの」という考えについて、「かっこいい」の定義は。
「かっこいい」の定義はすごく難しいですが、時代によって変わっていくと思います。例えば90年代にかっこよかったのは、数が少なくてみんなが買えなくて、しかも高いもの。でも今は違って、人をわくわくさせられるものですね。みんなが「欲しい!なにこれ!やばい!」ってなるもの。得てして、ユーザーがそのとき欲しいものが一番かっこいいんですよ。今みんなが欲しいものは、間違いなく「共感を生むもの」なんですよね。


これからやってみたいことは。

 

「感動」して、「共感」して、それを「共有」することが全てです。つまりSNSでシェアすることもそうだし、みんなが「これすごいよ」って話題にするようなものを作りたい。それはファッションでも食べ物でもいいし、とにかく最後、人を感動させて死にたい。時間は限られているから、自分が生きている間にどれだけの人を色々な意味で感動させられるかどうかですよね。それをやりたいです。

 

f:id:antwarpboss:20180218143535j:image

■石川涼(RYO ISHIKAWA)

1975年、神奈川県生まれ、静岡県育ち。株式会社せーの(Ceno. Company.)代表取締役
2004年、ファッション・ブランドVANQUISHをスタート。06年に、渋谷109MEN'S館にショップを出店、ほどなく"ギャル男"の象徴ブランドとして、絶大な支持を得る。株式会社せーのは、現在はVANQUISHを含め6つのメンズブランドと、レディースブランド3rd by VANQUISH、マスクブランドgonoturnの計8ブランドを展開する。